【続 とある昔話】  …昨日につづいて

ばあちゃんの絵

=========

 

【続 とある昔話】

 

ご主人が亡くなられてから、そして亡くなった原因がわかってから、それま で仲良くしてきたご近所の方々の態度が一変しました。

亡きご主人のお店を利 用しない、は序の口でした。

そのうちどんどんエスカレー トしていって、会っ ても無視する、

回覧板を回さない、

近所づきあいを一切絶つ、のうえしまいに は
亡きご主人が営んでいた商店であり御家族も住んでいた自宅は、大きな通り が交差する角。

ご近所が用事で大通りへ出るにはお店の前を通ればたった数歩 数 秒 で 出 ら れ ま す 。

な の に ご 近 所 は 決 し て 亡 き ご 主 人 の お 店 の 前 は 通 り ま せ ん 。

ならどうするかといえば、

まず大通りとは真逆の方角へ赴き、ぐるつと360度 大回りして一本隣筋の道から大通りに出るという、時間も距離もわざわざ遠回りしたので した。

 

どうしても急ぎで大通りへ出なくてはいけないときは、鼻と口とをきっちり 手で塞いで、全速力でお店の前を駆け抜けることまでしたそうです。

たまりかねて御家族は向かいにあるお寺に助けを求めました。

これこれこう いうことでご近所から仕打ちを受けている、どうかお寺に匿って貰えないだろうか、 と。

お寺のご住職は、母によると「気のいい方」だったそうです。

御家族の訴え に「よっしゃ、よっしゃ」と二つ返事で快く引き受けてくださいました。

そし て広いお寺の一角に御家族を匿いご住職の御家族と共に、手厚くお世話された そうです。

ところが
話を聞きつけてご近所が総出でお寺にやってきました。

原爆症の家族を匿ってどうするつもりだ
もしあの家族から原爆症がうちやうちの家族に移ったら、どうしてくれるん だ

出せ、出せ、追い出せ
もし追い出さなかったら、我ら全員お前のとこの檀家を辞める。

それでもい いのかっ
それはそれは容赦ない怒号でした。

ご住職は黙って聞いておられました。

ですが御家族をお寺から追い出すこと に関しては頑として首を縦に振らず、とうとう要求を突っぱねて帰らせたそう です。

ですがお寺という建物は天丼が高いです。

仕切りといっても紙の障子や
換で、怒鳴り声はお寺の端々まで聞こえたことでしょう。

ある夜中、御家族は お寺の方の誰にも告げず
それからその御家族を見た者は誰もいません。

 

「隣の県境の街にひっそりと暮らしている」と風の嘩が流れたこともあった そ う で す が 、本 当 に 誰 も 御 家 族 を 見 た 人 は い な い の で す 。

生 き て い る と し た ら 、 亡くなったご主人のお子様は現在六十歳代?いえ、もしかしたら齢七十を超し てらっしゃるかもしれません。

それから幾年月、うちの母親は今でも怒っています。

「なんの咎もない、真っ正直に生きてきて『お国のために働いた』人間がなぜ、あんな理不尽な死に方をしなくてはいけなかったのか」と。

そして 「本人は何も知らずにさっさと亡くなったからいいが、遺された御家族のご苦労はいかばか りだつたか」 と。

だからご近所がご遺族へした仕打ちは、いまだにどうしても許せないそうです。

この話は事実ですので、

ご主人の元のお店の場所やその周辺はまだそのまま 残っています。

私は自分の母親から詳しい場所を聞いていますし、実家の書提 寺(こ の話に出てきたお寺ではありません)も近いのでお墓参りの時は必ず近く を通 ります。

元の商店の場所は建物はそのままに新しいお店が内装を改装して入っていま す。

立地条件が良いこともあって、

通りからチラッと見るだけでも今のお店も 中々繁盛している様子がわかります。

その商店の斜め向かいに、大きな瓦屋根を頂き昔ながらの重厚な門構えのお 寺が建っています。

そして、その寺と商店にまとわりつくかのように、狭い問口で三階が低い、 煤けた感じの格子が続く木造家屋が数軒続いています。

現代的な蒲洒な商店と 広大なお寺、

ですがそれにつづく家々だけは戦前から時間が止まっているような、なんとも異様な光景なのです。

 

 

 

==========

 

昨日に続いて 今日も読んでくださって

ありがとうございました。

 

この【お元気ですか】の文集には

実は

編集してくださったA様の

こんな↓あとがきも 添えられておりました。

 

※※※

 

昨年6月、

。。

 

「私にとっては書くのが辛く、

何年も一行も書けなかった話です」

「内容が時期的にそぐわないと思い」

「破いて捨てるかはお任せします」

。。

悩みつつ送っていただいた原稿です。

でも、コロナ禍での偏見が渦巻く今こそ

読んでもらっては、と掲載しました。

 

※※※

と 書かれておりました。

 

 

紙に油彩

(昨日、【とある昔話】に合わせて

私なりに 描かせていただきました)

 

 

 

 

 

 

コメント

  1. 松井千佳子 より:

    初めてブログを拝見させて頂きました。

    お仕事としては勿論ですが、趣味の域ではない絵画の作品を描かれておられ、素晴らしいと思います。

    おばあちゃんとあるので、可愛い本当のおばさんを、でも、スーパーおばあさんを想像していましたが、お写真を見て驚きました。「全然お婆さんと違うやん。作品に似合った素敵な作家さんやわ。」と思い、ガッテンが行きました。

    瑞々しい感性、行動力に、憧れを超えるモノを感じます。ご活躍期待しております。

    • baba より:

      松井千佳子様

      コメントを 下さって有り難うございます。

      お名前を拝見して 
      あれっ⁉︎【お元気ですか】の方 
      と 驚きました。
      大変な文集のお世話もしてくださって ありがとうございました。

      以前 NHKで 『京都南禅寺界隈別荘群』という 番組を
      観たことがありました。
      私達九州とは 全く別格の風景
      文化と歴史の素晴らしさ
      京都に伺う度に思います。

      對龍山荘
      写真を拝見しながら 
      生活もどっぷり浸かっていらっしゃる
      松井様を想像して うらやましく思いました。

      私のおちゃらけブログを読んで下さって
      そして
      なかなか描けない絵を
      そんな風に言ってくださって
      ずっと
      落ち込んでいる気持ちに
      すこしづつですが 
      力が湧いてくるようです

      これでいいんだ と
      元気を下さって
      ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました